お付き合いはできるのに、なぜか結婚はできない。
婚活の場では、不思議な光景をしばしば目にする。
恋人を作ることは難しくないのに、なぜか結婚となると足踏みしてしまう人である。
交際当初は順調で、周囲からも「この二人はうまくいく」と思われていたのに、結婚の話題が出た途端に関係が停滞する──そのような事例は少なくない。

実は、これは私自身も経験したことである。
30歳のとき、そして38歳のとき、2度の婚約を経験したが、どちらも結婚には至らなかった。
理由を一言で表すなら「心が前に進めなかった」からである。深堀していこう。
結婚は恋愛とは異なる段階である


恋愛は感情の高まりが原動力となる。
好きだから会いたい、楽しいから一緒にいたい──その感情だけで進むことができる期間もある。この感覚でいられるのは10代後半から20代前半ではないだろうか。
30代以降ともなると、そこに「生活」「責任」「将来」という現実的な要素が加わる。
家計の管理、相手の家族との関係、子どもを持つか否かといった具体的な課題が現れるのだ。
この現実感が、恋愛時にはなかった重みをもたらし、心の動きを鈍らせる。
こうして、結婚は喜びよりも不安のほうが強く感じられる瞬間が訪れる。
なぜ喜びより不安が勝つのか


結婚の話が現実味を帯びると、頭の中に様々な疑問や懸念が生まれる。
- 「本当にこの人で良いのだろうか」
- 「もし離婚になったらどうしよう」
- 「自分は家庭を築ける人間なのだろうか」
これらは特別な不安ではなく、むしろ自然な感情である。
しかし、この不安が大きくなりすぎると、結婚への一歩を踏み出す力を奪ってしまう。
過去の経験がもたらす影響
婚約破棄や大きな失恋は、結婚への心理的ハードルを高める。
一度「ゴール直前で崩れた」経験をすると、「また同じことが起こるのではないか」という恐れが心に残るのだ。
友人や同僚はどんどん結婚していく。自分だけが取り残されていく。結婚しなければという思いだけはあるが、結婚できない。負のループである。



私の場合も同様であった。
2度の婚約破談のあと、「自分は結婚に向いていないのではないか」と思い込み、婚活をしても心の奥で常にブレーキを踏んでいた。
男女で異なる「結婚の壁」の感じ方
もちろん個人差はあるが、一般的に言えば──
- 女性は「将来の安定」や「生活の安心感」を重視し、それに不安を覚えると結婚をためらう傾向がある
- 男性は「自由が減ること」や「責任の重さ」を意識しすぎて、気持ちが固まらない傾向がある
いずれも真剣に考えている証拠ではあるが、行き過ぎれば結婚のタイミングを逃す原因となる。
結婚を遠ざける思考パターン


- 完璧を求めすぎる:理想と現実の差を受け入れられない
- 過去の失敗を引きずる:再び同じ苦しみを味わうことへの恐れ
- 自己否定:「自分は結婚に向かない」という思い込み
- 変化への不安:生活や自由が変わることへの抵抗感
「結婚の壁」を越えるための方法


私が実際に試し、一定の効果を感じた方法を挙げる。
- 結婚に完璧を求めないと決める
- 過去と現在を切り離して考える
- 不安や恐れを紙に書き出し、可視化して整理する
- 信頼できる第三者に相談し、客観的視点を得る
- 結婚を終着点ではなく新たな出発点と捉える
まとめ
お付き合いができるということは、人と関係を築く能力をすでに持っているという証である。
結婚の壁は相手や環境だけでなく、自分自身の内面に存在する場合が多い。
その壁を一つずつ見極め、恐れよりも希望を大きくしていくことが、結婚への道を開く鍵となる。
同じ悩みを抱える者が、この文章を通じて自らの心と向き合い、一歩を踏み出すきっかけとなれば幸いである。
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