はじめに

結婚したい気持ちはある。けれど、なぜか婚活に積極的になれない。
あるいは、良い相手がいても一歩が踏み出せない。
そんな矛盾した状態を経験している人は少なくないはずである。
私自身、婚活中に「結婚したい」と思う反面、「今の一人の生活も心地よい」と感じていた。
このような心理的葛藤の正体は、臨床心理学の観点から見れば、「無意識」に起因する可能性が高い。
少し難しい話かもしれないが、知っておいて損はないと思う。
レッツゴー!
無意識の構造:フロイトによる発見
無意識という言葉を世に知らしめたのは、精神分析の祖・ジークムント・フロイトである。
フロイトは、私たちの心を氷山に例え、意識は海面に見えている氷山の一角に過ぎず、大部分は無意識に沈んでいるとした(Freud, 1915)。
無意識とは、自分でも気づいていない思考、記憶、感情の貯蔵庫であり、私たちの行動に大きな影響を与える。
例えば、「結婚に前向きである」と思っているのに、なぜか婚活が進まないというのは、無意識下で「結婚を避けたい」という感情が作用している証拠である。
無意識の例:矛盾する感情との出会い
極端な例として「両親を愛しているが、早く死んでほしいと思っている自分がいる」ことを挙げる。
もちろん、これは実際に行動に出すべきものではない。しかし、人の心の奥底には、社会的には容認されない思考や感情が存在し、それが無意識に押し込められる。
婚活においても同じである。「早く結婚したい」と思っていながら、「本当は誰かと暮らすのが怖い」と感じている人もいる。
無意識の中の結婚拒否感が、表面的な行動にブレーキをかけるのだ。
結婚を望む自分 vs 結婚を避ける自分

結婚したい気持ちは本物である。将来の安定、親の期待、子どもが欲しいという願望——いずれも正当な理由だ。
しかしその一方で、「結婚したくない」と考えるもう一人の自分がいる。
- 自由な時間を失いたくない
- 他人と一緒に生活する自信がない
- 過去の恋愛トラウマを繰り返したくない
- 両親の不仲を見て育ったため、家庭に理想が持てない
このような「結婚を避けたい自分」の存在は、臨床心理の視点では正常なことである。
人は多面的な存在であり、常に矛盾を抱えて生きているからだ。
無意識を発見する方法
無意識は自分で気づきにくい性質があるため、「自分の無意識に気づく」ことが第一歩となる。以下の方法が有効とされている。
- 日記を書く:感情の動きを記録することで、無意識の傾向が浮き彫りになる。
- カウンセリング:専門家との対話で、気づかない感情に気づく。会社でカウンセリングを受けれる機会が増えているため、話をしてみるのもアリだと思う。
- 夢分析:夢に現れる象徴は、無意識のメッセージであるとされる。
- マインドフルネス:今の自分の内面に注意を向けることで、無意識と向き合える。
無意識の感情とどう向き合うか
臨床心理学では、無意識にある感情を「良い/悪い」と評価するのではなく、「そこにある」と認めることが重要だとされている。
認知行動療法(CBT)では、感情→思考→行動のループを意識的に書き換えていく手法が取られる(Beck, 1976)。
つまり、「結婚をしたいのにうまくいかない」という状態に対し、「自分の中に結婚を避けたい感情がある」という前提で考えると、心が楽になる。
「結婚しなければいけない」の思い込みを外す

婚活中、「絶対に結婚しなければならない」と思うほど、無意識の反発は強くなる。
「結婚しなくても今の生活は成り立っている」「誰かと無理に一緒になる必要はない」と考えることで、心のゆとりが生まれる。
このように、「結婚したくない自分」も存在していていいという認識が、婚活における心理的な安定をもたらす。
結婚したい気持ちと、したくない気持ち。どちらも自分自身の正直な一部である。
どちらか一方を否定するのではなく、両方の声を聴き、受け入れることが、真の意味での婚活スタートラインとなる。
まとめ
- 無意識とは、自分で気づいていない感情や思考のこと。
- 結婚を望みながらも、無意識で避けていることがある。
- 心には多面的な「自分」が同時に存在する。
- 「結婚しなければならない」という思い込みを緩めることで、心が安定する。
結婚は人生の選択肢のひとつに過ぎない。
自分の中の「結婚したい自分」と「したくない自分」、両方を理解し、受け入れることができたとき、人はようやく本当の意味で「結婚を選ぶ」ことができる。
コメント