かつて職場は恋愛と結婚の出会いの場であった。だが、近年その機会は喪失しつつあるのではないかという問題提起をしたい。
私自身、医療現場で働いている中で、リハビリ職員と看護師の結婚や、リハビリ職員同士の結婚は比較的多いと感じている。しかし、一般企業に勤める友人に尋ねると、職場恋愛や職場結婚は少ないという返答が返ってきた。
実際、職場恋愛・職場結婚は本当に減っているのだろうか。データをもとにこのテーマについて深掘りしていきたい。
レッツゴー!
データで見る職場恋愛

まず、職場結婚の実態についてだが、厚生労働省が2020年に公表した「人口動態調査」によれば、婚姻の出会いの場として「職場」と回答した割合は約13.4%である。この数値は「友人・知人の紹介」や「学校・職場以外の趣味・地域活動」などに次いで上位に入っており、依然として職場が一定の出会いの場として機能していることを示している。
しかし、これは全体としての傾向であり、業種によって大きな違いがある。たとえば、医療や福祉などの対人職では、職場でのコミュニケーション量が多く、シフト制の中で密に関わる機会も多いため、自然な形で恋愛関係に発展しやすい。

実際、私の職場でもリハビリスタッフ同士や、看護師と療法士とのカップルを何組も見てきた。不倫もね、、、
職場での自然な出会いの可能性


一方で、一般企業、特にITや事務系の職種では、在宅勤務の普及やオンライン化によって対面での関係性構築が難しくなりつつある。2021年のリクルートブライダル総研の調査によると、コロナ禍以降「職場での人間関係が希薄になった」と答えた人の割合は約42%にのぼる。これにより、自然な出会いとしての職場恋愛が生まれにくくなっている現状がある。職場の飲み会も激減して、以前は飲み会の場が人間関係を構築する役割を担ったいた側面もあるが今では飲み会を開催するのもハードルが高くなっている。
また、現代はハラスメントに対する意識が非常に高まっている。特にセクハラやパワハラといった問題に対する企業のコンプライアンス強化が進み、職場でのプライベートな話題や、特定の異性との関係を噂するような文化が抑制されている。かつてのおせっかいな上司や同僚が「お前たちお似合いだな」などと声をかけてくれるような環境は、今や過去のものとなりつつある。
もちろん、ハラスメントの防止は重要であり、健全な職場環境づくりには欠かせない。
しかしその反面、職場内での人間関係が過度に事務的・効率的になり、親密な関係構築が難しくなっている側面も否めない。無駄話もなかなかしにくい。たわいもないことを話していると、その内容がセクハラと言われたらそれでアウトだから。
企業側の工夫が必要!


では、このような背景を踏まえたうえで、職場恋愛や職場結婚の復権は可能なのだろうか。鍵となるのは、“安全で健全な関係構築の機会を意図的に設ける”という企業側の工夫にあると考える。
たとえば、社内レクリエーションやプロジェクト外のチーム活動、ボランティアイベントなど、自然な交流が生まれるような場を提供することが、恋愛や結婚に発展する素地をつくる。福利厚生がしっかりしている会社に勤めているとイベントが様々あり出会いの場となりやすいのを感じやすいかもしれない。
また、現代の婚活事情として注目すべきは、マッチングアプリの台頭である。リクルートの2023年調査では、婚活成功者のうち約40%がマッチングアプリを通じて出会っているという。
つまり、かつての職場恋愛に取って代わるように、アプリがその役割を担っているとも言える。逆に言えば、職場での出会いが減ったことによって、マッチングアプリのニーズが高まったとも言えるだろう。
若者の中には、自ら昭和の価値観の会社を選ぶ人が増えてきている現象もある。
つまり、ホワイトすぎる企業ではやりがいや成長を感じにくい人が一定数いるようだ。
まとめ
結論として、職場恋愛・職場結婚は確かにその機会が減少しつつある。
しかし、完全に消え去ったわけではない。特定の業種や環境においては今もなお機能しており、また企業の工夫次第でその機会は再び増やすことも可能である。
そして、現代の私たちができることは、職場という空間における人間関係を単なる業務にとどめず、健全で深い関係性を築く努力を重ねることに他ならない。恋愛も結婚も、突き詰めれば”人間関係の質”に尽きるのである。
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